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新卒フリーランサーは“あり”なのか【結論:一度就職をおすすめ】

近年、フリーランスという働き方が注目を集めています。

さらにコロナの影響も相まって、この流れは加速しているようにも思えます。

しかし、「時代はフリーランスだ」と深く考えずにネットの情報を安易に鵜呑みにしていませんか?

この記事では、フリーランス的な生き方に魅力を感じている学生向けに、新卒でフリーランスになることはありなのかについてお話しします。

結論から言うと、新卒フリーランサーは基本的にはおすすめしません。

一度社会人を経験しておきましょう。

それからでも遅くはないはずです。

確かにフリーランスにもメリットはありますが、新卒フリーランサーはデメリットの方が大きいと考えます。

特に、フリーランスのメリットはたくさん思い付くけれど、デメリットを聞かれて考え込んでしまうという方は要注意です。

フリーランスの良い側面しか見えていない可能性があります。

フリーランスという働き方の特徴

フリーランスのメリット

働き方の自由度が高い

フリーランスになると、場所や時間に縛られずに、自由に働くことができる。

フリーランス志望の理由として、この点を挙げる方は多いと思います。

会社員の場合、就職した瞬間、その先の未来が良くも悪くもある程度見えてしまっています。

  • 最初の何年くらいの年収は…
  • 何年目くらいで昇格して…
  • 何年目くらいで年収がこのくらいになっているだろう…

と言った感じですね。

これは、プラスには安定と捉えることができます。

しかし、マイナスには時間と引き換えにもらえるお金が大体想像できてしまっていると言えます。

一方フリーランスには、そのような一種のレールのようなものはありません。

病気になって働けなくなった際には保障も何もなく、自己責任であるという点では不安定です。

しかし、自分次第で自由に未来を作ることができる、高収入も夢ではない、そのような可能性があるのはフリーランスの強みですよね。

努力次第で収入を上げやすい

収入面でフリーランスに希望を感じる方も多いのではないでしょうか?

会社員の場合、昇給のチャンスは1年のうちで特定のタイミングのみに限られていることが多いです。

頑張って働いても、その努力が必ずしも反映されるとは言い難いですよね。

一方フリーランスであれば、成果はそのままダイレクトに収入に反映されます。

良い成果を上げれば認められ、ミスをして信頼を失えば捨てられます。

働いたら働いた分だけ反映され、サボればそれも全て反映されます。

これは時間単価ではなく、成果が主なフリーランスという働き方の大きな特徴です。

自身の努力が目に見えやすいため、それがモチベーション維持に繋がるという方には、フリーランスは適しています。

また、工夫して、スキルを上げて効率良く働けば、収益はさらに高められる可能性があります。

このような会社員には無い「可能性」もまた、フリーランスという働き方のメリットとして挙げられます。

新卒でフリーランスになるデメリット

仕事を獲得することが大変

「フリーランスは仕事を獲得することが大変」

これはどういうことだか想像できますか?

実はこれ、自分が最近まで盲点だったことです。

普段考えることは無いかもしれませんが、企業に属していれば、ある意味で自動的に仕事が流れてきます。

当たり前のことを言っているように感じたかもしれませんが、この当たり前はフリーランスには当てはまりません。

フリーランスの場合、仕事をもらうというところから始めなければなりません。

仮に新卒でフリーランスになったとして、人脈はありますか?

仕事を任せてもらえる実績はありますか?

残念ながら、フリーランスはスキルだけではやっていけません。

人付き合いが苦手だから、グループに属することが苦手だからフリーランス、なんてもってのほかです。

完全に真逆です。

フリーランスとして生きていくためには、スキルもさることながら、仕事を得るための営業や、確定申告を含めた経理など、多方面で学ばなければならないことが数多くあります。

安易に自由を手に入れられると想像してフリーランスになると、痛い目を見ることになるでしょう。

フリーランスから会社員への転向は難しい

会社員からフリーランスへの転向は話題になっていますが、逆にフリーランスから会社員への転向はどの程度聞くでしょうか?

もちろん0ではありません。

しかし、フリーランスへの転向と比較すると、少数派です。

新卒カードを捨ててまでフリーランスを選択したものの、数年経ってからやっぱり会社員の方がいいかもしれないと考えが変わった場合を想像してみてください。

  • 新卒カードはもう使えません
  • 大卒という肩書きの魅力も薄まります

そのような無駄なハンデを負った状態で就職活動を行うことになる可能性が高いです。

  • 想像と違って自由じゃなかった
  • 自身で稼ぐのは難しかった

特に、このような消極的な理由で会社員になることを考えた場合は顕著です。

「成果報酬での働き方により効率的にタスクをこなす能力を身につけました」とアピールできるわけでもなく、「挫折したので会社員になりたいです」というのは印象が悪いですよね。

目先のメリットだけに捉われず、長い目で自身の将来を見つめ、本当にフリーランスという選択が正しいか、再考の余地はありませんか?

スキルアップが難しい

スキルアップが難しい理由について、フリーランスとして働くことを考えるならば、必ず知っておかなければなりません。

なぜスキルアップが難しいのかと言うと、ずばり自身で仕事を取って来る必要のあるフリーランスにおいて、多くの人はついできる仕事ばかりを取りがちになってしまうからです。

また同じ相手と継続的に取引している場合、同じレベルのタスクばかりを依頼されることになるからです。

これにより、自身のレベルはそこで止まってしまいます。

言い換えれば、給料はそこを上限に止まってしまいます。

会社員の場合、少し難しいタスクを受けることがあるかもしれません。

受動的ではありつつも、それは自身のレベルアップのチャンスとなり得ます。

そのような機会が無いフリーランスは、挑戦する意欲を自身で保ち続けていなければなりません。

また、スキルの停滞には別の危険性も潜んでいます。

例えば、プログラミングの技術は移り変わりの早い分野です。

自身のスキルは同じでも、時代の変化により相対的にそのスキルの需要が低下する可能性があります。

需要が低下するということは、そのスキルの価値が低下し、結果的には同じことをしても収益が減ってしまうことを意味します。

先ほど「努力次第で収入を上げやすい」ということをメリットに挙げました。

しかし、これは裏を返せば、努力を怠ったら落ちぶれやすいということでもあります。

「自由」の意味を取り違えてしまうと、フリーランス人生は失敗に終わってしまいます。

時代に取り残されないためにも、フリーランスとして生きていくためには向上心が欠かせません。

なお「新しいスキル」=「価値の高いスキル」ではありません。

古いスキルでもレアなスキルには価値があり、重宝されることもあります。

プログラミング言語で言えば、COBOLやNOTESなどです。

  • 熟練したエンジニアが少ない
  • しかし様々な事情からいまだに使われ続けている

そのような条件が揃うとき、その言語を使えるエンジニアは貴重な存在であると言えます。

ただしこの例は、「新しいスキル」≠「価値の高いスキル」を説明したまでで、これらの少数派の言語を学び貴重な存在を目指すべきだと言っているわけではないので、勘違いはしないでください。

新卒フリーランサーには関係ありませんし、目指すべきところでもありません。

フリーランスは茨の道

フリーランスという働き方に興味を持たれた方の中には、ネットで成功している人を見て「フリーランスっていいな」と思った方も多いのではないでしょうか?

自分もその中の1人です。

でも、そのような成功している人たちはほんの一握りです。

さらに言えば、ネットの特徴の1つに、成功者の情報は得られやすい一方、失敗した人の情報は埋もれており、得られにくいことが挙げられます。

これにより、成功者のきらきらしている部分だけを見てしまっていませんか?

フリーランスに対して、危険なバイアスが掛かっている可能性があります。

フリーランスとして独立して働くということは、一種の小さな起業であると捉えることが出来ます。

スキル以外の知識が全くない状態でいきなり成功できるほど、新卒フリーランサーとしてやっていくことは簡単ではありません。

ネットで成功している人たちも、バックグラウンドを見ると、元々会社でマーケティングを担当していたなど、フリーランスに繋がる知識を有している場合が多いです。

フリーランスへの道を閉ざそうとしている、可能性を潰そうとしているわけではありません。

しかし、フリーランスは決して簡単・自由なわけではなく、むしろ茨の道であることは理解しておくべきです。

一度会社員を経験しておこう

ここからは、フリーランスを目指す場合でも、新卒でフリーランスになるのではなく、一度会社員を経験しておくべき理由・メリットについてお話ししていきます。

人脈を広げることができる

先ほどフリーランスのデメリットとして、「仕事を獲得することが大変」だと言いました。

会社に属すると、そこで人脈を作ることが出来ます。

社内に留まらず、その分野に携わる多くの人と関わることもあると思います。

人脈を広げ、そこで価値のある人材と認められれば、仕事を探さなくても、むしろ向こうから仕事を依頼されるようになる可能性が高まります。

そのような状態を作り上げてからフリーランスに転向するというのも、1つの選択肢です。

分かりやすく言えば、フリーランスになってからも会社員時代のコネで仕事を獲得し働くということです。

既に人脈があると、「営業」の部分をカットすることができます。

全てを自身でこなさなければならないフリーランスにおいて、一部分でもカットできることは、大きな負担軽減となるのではないでしょうか?

しかも、お互いに知っている人であるため一定の信頼がありますし、その結果高い報酬を得やすいというプラスの副作用も期待できます。

近年はクラウドソーシングなど、いきなりフリーランスとして独立できる環境もありますが、そこで低単価から地道に実績を積むよりも効率的なのではないでしょうか?

フリーランスの方が合っているのか、見つめられる

フリーランスから会社員への転向は難しいという話をしましたが、逆の会社員からフリーランスへは、比較的簡単にいつでもなることが出来ます。

しかもフリーランスになる際には、学歴を問われることはありません。

企業に入るとなると、新卒のタイミングが一番有利です。

転職も、前の企業での実績などをもとに行うことになります。

そのため、新卒カードを捨ててまでフリーランスを選び、やっぱり会社員として生きたいとなると、やはりその経緯について人事の方は着目してしまいます。

フリーランス時代に特出した成果などがあれば良いですが、余計な数年を挟んで遅れて就活をスタートしただけの状態に映ってしまったら残念です。

であれば企業に属して会社員としての経験を経たうえで、あらためてフリーランスという生き方が自身に合っているのか見つめ直しても良いのではないでしょうか?

これからの時代の流れ

フリーランスの時代??

  • 在宅勤務
  • 田舎移住
  • セミリタイア

これらは近年注目されているワードたちです。

よくよく考えてみると、どれもフリーランスの働き方と相性が良いです。

今はまだフリーランスとして働く人たちは一握りです。

ですが、今後は個人で働くことが当たり前の時代がやって来るかもしれません。

この記事をここまで読んでくださっている方は、フリーランスに少し興味を持っている方だと思います。

新卒フリーランサーはデメリットの方が大きいから、早まる必要は無いと考えを述べさせていただきました。

しかし、どのような働き方をするにせよ、フリーランスという働き方を知っている、選択肢を残しておくのは良いことだと思います。

コロナの影響も相まって、フリーランスの時代到来のようにも思える現在ですが、まだこの先どのような変化が起こるかは分かりません。

例えば、テレワークが続けば、会社員の身分でありながらフリーランスのメリットを享受できるような働き方が実現するかもしれません。

そうなると、会社員として働いていた方が良かったとなる可能性もあります。
(もちろんフリーランスにならなかったことを後悔する未来が来る可能性もあります。)

大切なのは、どのような時代でも適応し生き抜ける人物を目指すことです。

個人の時代到来

これからの時代において、確実に重要になると考えられることが一つ挙げられます。

それは個人の力です。

もちろんフリーランスとして働く場合、個人の力が成功の可否を大きく左右することは言うまでもありません。

しかし、会社員を含む全ての職業においても、この個人の力は軽視できなくなると思われます。

従来の日本企業は年功序列でした。

ですが、「年功序列でした」と過去形を使用したように、現在そのような企業は減少の一方です。

特にグローバルよりな企業になるほど、その傾向は顕著です。

年功序列の考え方の全てが悪いとは言いませんが、経営者視点で見た時、年功序列には1つ大きな欠点があります。

それは、社員のスキルと給料が比例しないということです。

勤続年数が長いにも関わらず会社への貢献度が低い人が一人でもいれば、それは会社にとって大きなマイナスとなります。

しかも、貢献度の低いような人は学習意欲も低く、きっと知識は古いままでしょう。

一言で言えば、ただの老害です。

そのようにならないためには、個人の力を磨き、会社にとって貴重な存在・価値をもたらすことのできる人材を目指すことが重要です。

このブログでも何度か言っていますが、自身をアップデートし続ける姿勢が大切です。

格差社会で勝ち組になるために

国税庁の令和元年分民間給与実態統計調査結果によると、令和元年度の平均給与は436万円とのことです。

参考:標本調査結果|国税庁

この数字はどのように捉えていただいても良いのですが、この裏には一つ重要なことが隠れています。

ずばり、富裕層と貧困層とに二分されており、436万円をもらえると思っていたら大間違いだということです。

何が言いたいのか、簡単な例を挙げて説明します。

2つのクラスでテストを行った結果、Aクラスの平均点は60点、Bクラスの平均点は65点でした。

さて、どちらのクラスの方が優秀でしょうか?

Bクラス??

答えは、与えられた情報だけでは、どちらのクラスが優秀か、判断することはできません。

それぞれのクラスの個人の点数を見てみましょう。

Aクラスは、50点、60点、60点、60点、70点。

この5人で平均点が60点でした。

一方のBクラスは、30点、45点、60点、90点、100点。

この5人で平均点が65点でした。

このように見ると、Bクラスの方は30点や45点の人がいるにも関わらず、90点や100点の人によって平均点が引き上げられていることが分かります。

つまり分散が大きいということですね。

平均点ではAクラスを上回っていますが、果たしてBクラスの方が優秀であると言えるでしょうか?

話を戻して、日本国民の給与の実体は、Bクラスの状態です。

働き方改革や、その一環として同一労働同一賃金など、確かに国も色々と頑張ってはいます。

しかし、今後も所得格差は続きそうです。

国任せにしたり、格差にただ嘆いたりしていても、将来は何も変わりません。

そんな暇があるならば行動し、富裕層側に属するための努力をすることが大切です。

まとめ

働き方は人それぞれで、会社員が合っている人もいればフリーランスが合っている人もいます。

ですから、働き方に正しい・間違いはありません。

しかし、新卒フリーランサーにはいくらかのデメリットもあることを忘れてはなりません。

  • 仕事を獲得するための人脈はありますか?
  • 今後、会社員への転向を考える可能性はありませんか?
  • スキルを停滞・退化させないために努力を継続できますか?

フリーランスは「楽して稼げる」わけではありません。

それどころか、むしろ茨の道です。

そのようなことを理解したうえで、フリーランスとして生きる道を選択すべきです。