心配しないでください。
初心者でも、ポイントを押さえればワンランク上のプレゼンをすることができます。
スポーツや料理でも、コツってありますよね。
同様に、プレゼンにはプレゼンのコツがあります。
この記事では、プレゼンのポイントを3つにまとめました。
ポイントを知り、人を動かす濃いプレゼンを実践しましょう。
なおこの記事は、成瀬さんの「【勉強会向け】プレゼンのプレゼンします【気軽に登壇】」というセミナー動画から学んだことのアウトプットも兼ねて書いています。
プレゼンテーション3つのポイント
勘違いしていませんか?
プレゼンはスライドの共有ではありません。
主体は発表者のトークであり、スライドはそれを補助するものです。
ですからプレゼンにおいては、スライドの作り込みではなく、いかに伝えるかが重要となります。
伝わるプレゼンのポイントは以下の3つ。
- 見せる
- 話す
- 聞く
順番にお話しします。
1.見せる
- この人の話は信頼できる
- この人の話を聞いてみたい
そう感じてもらうためには、まずは見た目の印象が大切です。
恰好
人より少しきっちりとした服装を心掛けましょう。
特に、技術的な話をする場合や、プレゼンの説得力を高めたい場合。
恰好を意識することは、しっかりとしたイメージを与えるために有効です。
姿勢
姿勢もまた、発表者の印象を左右します。
まずはNGな姿勢から。
- 丸まった背筋 → 自信の無さを与える
- 机に手をドンとつく → 威圧感を与える
- 腕組み → 拒絶を示す
無意識にこのような悪い姿勢になってしまいがちな方も多いのではないでしょうか?
おすすめの解決策は、おへその前で手を組むことです。
これを意識するだけで、手持無沙汰感が減ります。
おへその前を起点にすると、身振り手振りや、ポインタでの指し示しも自然に行えます。
動作
行動は「ゆっくり大きく」が鍵です。
せかせか小さく動くのはNG。
イメージは、スポットライトが自分を追える程度の速さです。
スライドを指し示す場合でも、慌てる必要はありません。
- ポインタでスライドを指す
- 聴講者の方へ向き直る
- 話し始める
このくらい動きはゆっくり1つ1つでも大丈夫です。
2.話す
続いて、プレゼンのポイント2つ目「話す」に関してです。
フィラーを減らす
フィラーってご存知ですか?
このような、会話の合間に挟む意味を持たない言葉をフィラーと言います。
フィラーはプレゼンでは不要です。
とは言われても「あー」とか「えー」とか、つい言ってしまいますよね。
そもそもフィラーはなんのために行うのでしょうか?
答えは、会話の主導権を相手に渡さないためです。
次の言葉を考えている間に相手に喋られてしまったら、話せなくなってしまいます。
意識することはありませんが、フィラーを挟むことで自分のターンを続けることを示しているのです。
ということは、フィラーはプレゼンでは不要です。
なぜなら、プレゼンでは会話の主導権が移ることはありません。
主導権は発表者である自分に常にあります。
主導権を取る努力なんて、そもそも不要なのです。
もちろんフィラーを減らそうとしてぎこちなくなったり、喋りづらくなったりするのであれば、無理に禁止する必要はありません。
沈黙を上手に使う
歌や楽器では、音だけでなく、ブレスの取り方や休符まで含めて曲が完成します。
プレゼンでも、音楽における休符、すなわち沈黙を上手に使えると、聴講者を引きつけることができます。
沈黙には2種類の効果があります。
「喋らない」でいると、聴講者は「なぜ?」と不安になります。
この不安は、期待の裏返しです。
つまり、沈黙は期待感を煽ることになります。
「赤色のりんごを思い浮かべてください」
と言われてから、頭の中にりんごが想像されるまでには、タイムラグが生じます。
特に難しい話になるほど、理解には時間がかかります。
この理解に要する時間を沈黙として与えてあげることで、聴講者は話に深く入ることができます。
理解する猶予を与えずに次々と話を進めてしまっては、聴講者は話についていけません。
価値ある技術やノウハウの共有であったとしても、置いてけぼりにされては、つまらなくなってしまいます。
声を使い分ける
声は5つの要素に分けられます。
- 声域
- 声量
- 抑揚
- ピッチ
- ペース
プレゼンには、これら5つの要素をどのように活用すれば良いのでしょうか?
1つずつ解説していきます。
低めの声を意識しましょう。
低い声は安心感を与えます。
これは説得力の向上に繋がります。
- 大きな声は、興奮を表します
- 小さな声は、注意を引きつけます
大切なのは、大小を使い分けること。
常に大音量はうるさいだけです。
抑揚がなく、単調なのはNG。
聞く気を無くしてしまいます。
最近は機械音声も向上してきましたが、一昔前の読み上げ機能をイメージすると良いかもしれません。
プレゼンの際に気を付けるべきは、スライドに書いてあることを読み上げないことです。
これをすると、抑揚が無くなってしまいます。
音程ですね。
声域は低い方が説得力が増すのですが、たまに高い声を混ぜることで、感情の高ぶりを表現することができます。
- 速さは興奮を表します
- 遅さは強調を表します
- 究極の強調は沈黙です
大事なことは繰り返す
勉強でも、大事なワードは繰り返して暗記しませんでしたか?
何度も繰り返すことで、聴講者はそれが重要だと認識します。
NGワード
これらのワードを使ってしまうと、そのとたんに説得力が無くなってしまいます。
例えば、このように言い換えましょう。
- かもしれません
です
という可能性があります - だと思います
だと考えます
に感じます
そもそも言い切れない原因は何でしょうか?
その事柄に関する知識が足りていないからではありませんか?
その場合には、持論を確立できるまでもう少し勉強が必要です。
自信を持って話すことで説得力が高まり、聴講者に伝わるプレゼンとなります。
3.聞く
プレゼンの3つのポイント、最後は「聞く」です。
プレゼンと言うと一方的な発表の場に思われがちですが、そうではありません。
聴講者を前のめりにするためには、双方向のコミュニケーションが欠かせません。
そのために有効な手段が「問いかけ」です。
問いかけ
人は問いかけられると、自動的に答えを考えます。
参加型の能動的なプレゼンにすることで、聴講者との距離を縮めるとともに、プレゼンの内容にも興味を持ってもらえます。
ただし、問いかける内容とタイミングには注意が必要です。
例えば、
「このプログラミング言語を使ったことのある方は、どのくらいいいらっしゃいますか?」
と質問しておいて、その結果から話を発展させない。
「何のために聞いたの?」となってしまいます。
何度も手を挙げさせられると疲れます。
双方向のコミュニケーションとはいえ、受動的な立場として参加している聴講者に能動的になれと強制してはいけません。
プレゼンで人を動かすために
コミュニケーションの重要性
プレゼンは双方向のコミュニケーションです。
そうでなければ、スライドを印刷して配布すれば済む話です。
確かに「発表者」「聴講者」という立場の違いはあります。
しかし両者がいて、コミュニケーションして初めてプレゼンは成り立ちます。
発表者→聴講者
発表者⇔聴講者
これを意識しましょう。
聴講者→発表者の例として、以下のようにフィードバックのあるプレゼンは良いプレゼンと言えますね。
- 自然と拍手が起きる
- オンラインのプレゼンでは、コメントが賑やか
ストーリーを持たせる
事実を並べているだけでは、聴講者は退屈してしまいます。
理解を助けるために、ストーリーを作ることが大切です。
具体的には、ゴールを提示しましょう。
「今日はこんな話をします」と言ってから話を始めると、発表の流れができますし、聴講者も話に入りやすいですよね。
結論から述べることも有効です。
現状から理想へと誘う
これが発表者の理想、プレゼンで聴講者に伝えたいことであったとします。
残念ながら、これをいきなり話しても聴講者には伝わりません。
このように聴講者の現状、理解できるところから順に話を展開してあげることが大切です。
発表者の立場に経つと、つい自分中心な理想の話ばかりをしてしまいます。
ですが、それではせっかくの知識やアドバイスも伝わりません。
聴講者に目線を合わせた立場から、その後の理想へと話を展開することで、聴講者を理想側の世界へと誘ってあげましょう。
さらなるプレゼンターへ【応用編】
スライド作りの5つのポイント
ここで初めてスライドに着目します。
スライドの役割は以下の通り。
- 発表の説明を助ける役割(発表者のため)
- 発表の理解を助ける役割(聴講者のため)
はじめにも言いましたが、プレゼンの主体は発表者であり、スライドはそれを補助するものです。
スライドを効果的に使い、プレゼンの魅力を高めるためには、以下の5つのポイントに気を付けてみましょう。
- 数字は大きく
- 文字の大きさと色に注意
- 情報量は極力少なく
- 変化を効果的に使う
- 聴講者に伝わる言葉を選択する
1つずつ解説します。
1.数字は大きく
数字は、説得力や信憑性を高める強い力を持っています。
一度は耳にしたことがありませんか?
「たくさんのビタミンCが含まれています」と言われるよりも、具体的で説得力が増しますよね。
実は「スライド作り5つのポイント」と、この記事内でも数字は登場しています。
これらの数字、プレゼンでは他の文字よりも少し大きく強調してあげると、より効果的です。
2.文字の大きさと色に注意
文字が小さすぎて読めないスライド。
読む気を無くすのはもちろんですが、そのプレゼン自体への興味も失われてしまいます。
- 発表時には、どのくらいのサイズのディスプレイ(スクリーン)に表示されるのか
- どのくらいの距離から見られることになるのか
事前にイメージしておきましょう。
基本は迷ったら大きめに。
特に強調したい箇所には、72ptや80pt辺りまで使っても大丈夫です。
逆に小さい方は、18ptよりも小さくしないこと。
読めなくなる可能性が高いです。
また最近は、オンラインのプレゼンも増えました。
オンラインでは、相手の環境は様々です。
なので編集中の画面を基準にしてはいけません。
小さいディスプレイに表示されることも想定し、余裕を持った文字サイズにしておくと良いですね。
そして文字色は、真っ黒ではなく、ちょっと灰色に。
真っ黒だと疲れます。
例えばAmazon.co.jpでは、カラーコードで#111111や#333333などの文字色が使われています。
3.情報量は極力少なく
スライドの情報量が多すぎる。
トークを補助するはずのスライドが主になってしまう原因の多くはこれです。
ありがちなのが、文章でスライドが埋まってしまうというもの。
デメリットしかありません。
- 聴講者がスライドを読んでしまい、トークを聞いてもらえなくなる
- 文字のサイズが小さくなってしまう
- 発表者自身も、その文章を読み上げるプレゼンになりがち
(→抑揚が無くなる)
文章は、スライドに書くのではなく喋りましょう。
スライドには、要点の箇条書き程度で十分です。
4.変化を効果的に使う
人は変化に敏感です。
この特性を利用して、スライドの一部分だけを変化させることで、そこに注目を引きつけることができます。
応用例として、目次一覧を表示しておき、Enterで今から話す項目以外の文字色を薄くするという手法は、よく使われています。
5.聴講者に伝わる言葉を選択する
プレゼンをするからには、その分野についてある程度詳しくなっておく必要があります。
しかし、それが逆に仇となることがあります。
どういうことかというと、深い知識が、無意識のうちに「このくらい当たり前」という思い込みを生じさせてしまうのです。
聴講者にとっては、プレゼン中に1つ分からない言葉があるだけで、そのプレゼン全体が難しく感じてしまいます。
該当分野に詳しい人を対象としたプレゼンであれば問題ありませんが、そうで無い場合には注意が必要です。
一つの目安として、小学生にも伝わる言葉を選択すると良いかもしれません。
ブログやマーケティング界隈ではよくペルソナというワードが登場しますが、このペルソナを設定しても良いですね。
ペルソナを設定することで対象が明確になるため、その対象に向けてどのような伝え方をすると最適か、具体的な想像がしやすくなります。
ページのめくり方
ページはめくりながら話します。
喋って、ページをめくって、そのページについて喋って…
ではありません。
それはスライドが主体のやり方です。
発表者が主体ですから、考え方としては「話に合わせてスライドをめくる」です。
前半でお話しした沈黙とは異なる、「ただの間」が無くなることでプレゼンがスムーズに進みます。
また「スライドの内容を理解している発表者」に映る効果もあります。
話しながらめくると言っても、難しくはありません。
パワーポイントであれば、発表者用ツールを利用して次のスライドを映しておくこともできます。
Google スライドであれば、スピーカーノートですね。
これらの機能を活用すれば、自然な流れでスライドを進めることができます。
迷わせない
スライドのどこを見ればいいのか、どこの話をしているのか、聴講者に迷わせてはいけません。
つい喋りがちなNGワードに「こちらをご覧ください」があります。
「こちら」ではどちらなのか分かりません。
ポインタで指し示すとともに、スライドにも工夫をしておきましょう。
- 矢印で指し示す
- その他を薄くする(差をつける)
先ほどお話しした「変化を効果的に使い注目を引きつける」ことのできる点でも有効です。
まとめ
- 「見せる」
- 「話す」
- 「聞く」
細かい事柄まで紹介しましたので、全てをプレゼン中に意識する必要はありませんが、上手に実践に取り入れ、ぜひ優れたプレゼンターを目指してください。
最も重要なことは「プレゼンは双方向のコミュニケーションである」ことです。
スライドの作成やトークの練習を行う際にも、相手を想定し、伝えるプレゼンを心掛けましょう。