2018年4月、山口大学工学部知能情報工学科に入学してから4年が経ちました。
そして2022年3月、学科首席として、学長表彰を頂いて卒業することができました。
参考:令和3年度卒業式・修了式特設サイト|国立大学法人山口大学
大学卒業を迎えた今、情報系学科で過ごした4年間を振り返ります。
併せて、世の中の変化も振り返ってみます。
そして、時代の変化に適応していくための、これからの生き方を考察します。
自分の考え方が唯一の正解とは限らず、必ずしも模倣することが正しいとは限りませんが、みなさんの人生を良くするためのヒントにしていただけると幸いです。
大学4年間での成長
成長の要因はインプットとアウトプット
大学4年間での成長を振り返ると、その要因は次の2×2点にあったと思います。
- 幅広く・同時に深くインプット
- 講義内容をきちんと理解
- 理解を深めるための応用的学習
- 積極的にアウトプット
- 個人開発
- チーム開発
特に1・2年では、インプットを中心に専門知識を身につけることを意識して過ごしました。
まずは講義内容をきちんと理解すること。
それから理解を深めるために、講義の枠を超えた応用的な学習を行いました。
そして3・4年では、アウトプットの割合を増加させました。
その中でも、初めは個人開発から次第にチーム開発へと、将来の仕事にも役立つより実践的な経験を意識しました。
以上の詳細について、次節以降お話します。
幅広く・同時に深くインプット
講義内容をきちんと理解
講義内容をきちんと理解するために心がけたこと、それは「講義を真面目に受講する」ことです。
当たり前と言われれば当たり前ですが、できない大学生が一定数います。
しかも高校まではできていたのに・・・。
少なくとも受験を突破して入学した大学であれば、皆、一定以上の学力を持っているはずです。
にも関わらず、高校までの当たり前が崩れてしまうのが大学生あるある。
「講義を真面目に受講する」ことを阻害する、大学生の陥りやすい罠Top2はこれ。
- 生活リズムの乱れ
- 講義中のスマホや飲食など
この2つに陥っていないか、別に普通だと錯覚してきていないか、特に注意していました。
理解を深めるための応用的学習
講義内容をきちんと理解することに加えて、さらにインプット量を増加させ、理解を深めるために行ったことが3点あります。
- 自由課題には基本的に取り組む
- 実際に体感して学ぶ
- 資格の取得
それぞれ解説します。
自由課題には基本的に取り組む
自由課題とは、具体的には、宿題として出された課題に追加して出される加点対象の課題などが当てはまります。
さらに言えば、加点対象外のものも含みます。
これらに積極的に、逆にやれない理由がない限り取り組むように心がけていました。
全員に共通して課された課題を完了しただけでは周囲と同じレベルです。
その1段上を行くためには、何か別の努力をしなければいけません。
何をするかはもちろん自由です。
ですが自由課題は、先生がその講義の内容の定着やより深い理解を狙って追加しているもの。
ですから、まずはそれに取り組むというのは効率的だと言えます。
実際に体感して学ぶ
「百聞は一見に如かず」という有名なことわざがありますが、まさにそれです。
大学で学ぶことの目的は、ワードの暗記ではありません。
ですから一部の暗記事項を除き、教科書とにらめっこしていても仕方ありません。
実際に触れながら体感して学んだ方が早くて効率的です。
具体例を挙げます。
- プログラミング言語をマスターするには、初めは写経からでもいいから書く
- 電子回路を学ぶには、基本的なパーツを買い揃え、電子工作をしてみる
(難しい場合はシミュレータ上で遊んでみる) - Web周りの知識を身につけるには、Webサイトを作成し公開してみる
(DBを絡めたり、セキュリティ対策を行うことで、関連知識の習得に繋げられるとなお良い) - Linuxを知るには、LinuxOSを日常的に使用する
これらはいずれも自分が実際に実行したものです。
資格の取得
エンジニアに資格は不要という考え方もあります。
資格の勉強は暗記作業になりがちであり、それはエンジニアとしての実務スキルに結び付きづらいからです。
しかし、たとえエンジニアであっても、資格を取得することは無意味ではないと考えています。
理由は以下の2つです。
- 最低限の知識の保証・証明となる
- 学習のロードマップ・到達点となる
1点目の「最低限の知識の保証・証明となる」に関して、特に新卒で実務経験のない場合、採用面接のみで自身の能力を全て伝えることは困難です。
それを補い、最低限の知識の習得を保証・証明してくれる資格は、後述するGitHubを活用したソースコードの公開と併せて、他者に自身の能力を伝える有用な手段です。
2点目の「学習のロードマップ・到達点となる」に関して、特に新しい分野を学習する場合、何から学べばよいのかが分からないということがあります。
そんな時の取っ掛かりとして、該当領域を網羅的に学ぶには資格の取得は適しています。
資格の学習を行う中で、知り得なかった新たな知識に出会うかもしれません。
また、範囲やゴールが明確な資格の学習には、目標を設定しやすいという特徴があります。
それゆえに、モチベーションを保ちやすいことも利点です。
以上の理由から資格の取得が有益であると考え、4年間で7つの資格を受験、うち5つの資格を取得しました。
積極的にアウトプット
個人開発
アウトプットの重要性を意識したタイミングで、まずは個人でも始められることを行いました。
具体的なアウトプットは次の2つです。
- GitHub
- morisakimikiya.com
GitHub
GitHubと言えばエンジニアのプロフィール。
近年ではそう言われるくらい、GitHubのアカウントを持っていること、そしてソースコードを公開したりOSSにコミットしたりしていることが当たり前となっています。
そんなことを知り、半ば「就活のため」に始めたGitHubでしたが、ソースコードを公開することで思いもよらぬ学びが得られました。
その1つとしては、変数の命名や設計などをきちんとするようになったことです。
初めの頃は、公開したところで「誰にも見られることはない」「フィードバックを得られるわけでもない」かもしれません。
ですが、たとえそうだったとしても、公開しているという意識から、他人に伝わるコードを意識できるようになったことは大きな学びです。
その他には、俗に言う「草を生やす」ことが継続のモチベーションになったり、ライセンスについて考えるきっかけになったりもしました。
morisakimikiya.com
morisakimikiya.comはポートフォリオを兼ねた自サイトです。
作成のモチベーションは2つありました。
1つは、HTMLやCSSに中学の時以来触れておらず、Gridレイアウトなど知らないことがあったため、Web周りの再学習として。
もう1つは、このサイトを作成したのは3年前期でしたが、その年の後期にWebプログラミングの講義があったため、その予習として。
またサブドメインで運用しているいくつかのサイトがありますが、このブログもその1つです。
こちらにも2つのモチベーションがあります。
1つは、文章に書き出すことで自身の思考や人生観を明確にし、より良い人生を送るため。
もう1つは、Qiitaへの投稿や技術書の執筆など発信に積極的なエンジニアの増加を受け、文章力を高めたいと考えたため。
チーム開発
いくらかの個人開発を経た後、次のステップとしてチーム開発に関心を持ちました。
特に最後の1年間は、ハッカソンを中心に、色々な人と様々な立ち位置(役割)で共に開発を行うことができました。
- 【学内】Yahoo HACK-U
- 【学外】サポーターズ 技育CAMP
- 最優秀賞受賞
- 【学外】CDLEハッカソン
- 企業賞(DENSO賞)受賞
これらを通じて、特に共同開発におけるGitHubの活用について学ぶことができました。
上述の個人開発では、1人で、作業はほぼmainブランチのみで、バックアップに近い使い方しかできていませんでした。
GitHubを活用してチーム開発を行うことで、新たに相互のコードレビューを行うようになりました。
また開発環境を統一するためにDockerを用いることが多かったですが、Docker周りの知識を学ぶきっかけにもなりました。
この経験は、就職後の仕事にも直結する体験だと思います。
ここ数年の世の中の変化
続いて、自身ではなく世の中に視点を変え、ここ数年の変化を思い返してみます。
ここではITに関連した事柄をいくつか挙げてみます。
日本の変化
- DXの推進
- デジタル庁の発足
- プログラミング教育の必修化
- 5G通信の普及
- 在宅ワークの普及
「プログラミング教育の必修化」により、論理的に考えられる人が育つことが予想されます。
(センター試験から共通テストへの変更もその一助ですね。)
「在宅ワークの普及」により、働き方に柔軟性が生まれました。
生産性の向上が期待できる一方、本当に生産性を向上させられるかは、その人次第な側面もあります。
世界の変化
- メタバース
- IoT
- 量子コンピュータ
- ブロックチェーン
- 自動運転車
「メタバース」の象徴としては、 facebook社のMetaへの社名変更ではないでしょうか?
メタバース空間でバイトするなんて人も登場しています。
「自動運転車」と言えばテスラ社。
そう遠くない未来に自動運転車が当たり前の世界はやってきそうです。
ただし、いくらかの課題も残っています。
- 車やバイクの運転を趣味としている人々と自動運転車がいかに共存していくのか(あるいは沙汰していくのか)
- 事故が発生した際の責任はどうなるのか(法整備)
激しく不透明な世の中
たった数年の間に、以上のようなワードが注目されるようになり、日々これらのIT技術が取り入れられています。
そんな変化の激しい現代ですが、これからも変化はますます激しくなることが予想されます。
そして重要なのが、この先の変化は不透明であるということ。
例えば、新型コロナウイルスの世界的な流行。
先程も挙げた在宅ワークの普及を始め、誰も予測し得なかった数々の変化をもたらしました。
また2022年に入ってからは、アメリカの金融引き締めやロシアのウクライナ侵攻が注目されています。
これらに起因した不安要素は株価にもあらわれています。
例として、米国の代表500銘柄で構成されるS&P500の年初来の値動きを見てみましょう。
2020年3月の新型コロナウイルス以来となる、大きな下落が見られます。
もちろん悲観的になりすぎるのも良くはありません。
ですが、時には先の見えないこの世の中をいかに生きていくか、考える機会を持つことも大切なのではないでしょうか?
時代の変化に適応していくために
継続的な学習の重要性
これまでに述べてきたように、世の中はここ数年を振り返ってみても激しく変化しています。
この事実が意味すること。
それは、時代の変化にあわせて知識と技術をアップデートし続けることが重要だということです。
スマホが登場し、1人1台持つことが当たり前となった世の中で、ガラケーにこだわるのは無意味です。
「トグル入力をせっかくマスターしたのに・・・」なんて嘆いていないで、フリック入力をマスターしなければ、時代に取り残されてしまいます。
勉強もこれと同じです。
学生から社会人になったら勉強をやめていいなんてことはありません。
学ぶことをやめたら、それ以降は古い知識でストップしたまま生きていくことを意味します。
それは、端的に言えば老害です。
生涯学習の重要性に関しては、こちらの記事も併せてご覧ください。
「IT×〇〇」で価値を生み出す
IT技術の将来性
少し前に「データは21世紀の石油」だという言葉が広まりました。
データがそれだけ重要であり、この時代の鍵を握るものであるということの表れです。
余談ですが、データがあるだけでは意味がありません。
そこから価値を引き出して、初めて有用なものになります。
それを行うのがデータサイエンティスト。
だからデータサイエンティストが近年注目されているのですね。
話を戻して、バンガード社の米国情報技術セクターETFであるVGTのチャートを見てみましょう。
アップルやマイクロソフトを始めとしたIT企業で構成されるこちらのETF。
短期的に下落する局面はあれど、長期的には右肩上がりのきれいなチャートを形成しています。
IT技術の将来性には期待を持てそうなことが分かります。
掛け算で希少性を高める
これからの時代を牽引するIT技術を活かすためのヒント。
それは、ITに何かを掛け合わせて、「IT×〇〇」で希少性を高め、新たな価値を生み出すことだと考えます。
掛け合わせるものは、ITから離れていれば離れているほどインパクトは大きくなります。
例えば「IT×農業」のように。
ここで、情報系学科でコンピュータサイエンスを学んだことによるアドバンテージとして、「IT×〇〇」のうち「IT」側の知識が深いことが挙げられます。
掛け算なので、知識は深ければ深いほど効果は絶大です。
もちろん「〇〇」側を疎かにして良いわけではありませんので、その点は注意が必要です。
「時代を変化させる」「次の時代を作る」
実は「時代の変化に適応する」には、更にその先があります。
それが「時代を変化させる」「次の時代を作る」ということ。
「時代を変化させる」「次の時代を作る」とは、どういうことでしょうか?
スティーブ・ジョブズを想像して下さい。
スティーブ・ジョブズは2007年にiPhoneを発表しました。
そして、ガラケーからスマホに世の中を一変させました。
「時代を変化させる」「次の時代を作る」とは、こういうことです。
これらを実現させるためには、起業家として人生を歩んでいく必要がありそうですね。
全ての人が起業家になるべきだとは思いませんから、誰にでも勧めるわけではありません。
しかし、「時代の変化に適応する」ことの更に先には「時代を変化させる」「次の時代を作る」ということがあること。
そして、そのような思考を持った人々がいることを知っておくことは重要です。
まとめ
大学4年間は、インプットとアウトプットにより成長が得られました。
- 幅広く・同時に深くインプット
- 講義内容をきちんと理解
- 理解を深めるための応用的学習
- 積極的にアウトプット
- 個人開発
- チーム開発
そして、ここ数年のITを見てみると、様々な変化が起きており、今後も変化の激しく不透明な未来は続きます。
そのような先の見えない時代を生き抜くためには、継続的な学習により、時代の変化に適応していくことが重要です。